この記事の結論

  • 走って逃げない、手で払わない。立ち止まり、体勢を低くして、蜂に背を向けずゆっくり後ずさって離れます。
  • 叩く、荷物を振り回す、腕を大きく動かすといった急な動きは刺激になります。体や服に止まられたときも叩きません。
  • 建物や車の中へ入り、戸を閉めるまでが一区切りです。少し下がったところで安心せず、振り返らないまま、蜂が見えなくなるまで下がり続けます。
  • 刺されたら下がってから、きれいな水でよく洗い流して受診を。息が苦しい、意識がもうろうとするときは直ちに119番。
  • 離れたあとに巣を自分で探しにいかないこと。蜂が離れない、同じ場所で繰り返すときは駆除業者へご相談ください。

庭やベランダ、ゴミ出しや散歩の途中で蜂が離れず、手で払っても戻ってくる。そんなときにしていただきたいのは、次の3つです。走って逃げない、手で払わない、立ち止まって体勢を低くし、静かにゆっくり後ずさって離れる。とっさに出る動きほど蜂を刺激しやすく、かえって刺されるきっかけになりますので、まずは手と足を止めるところから始めてください。

とっさにしがちな動き 代わりにすること
走って距離を取る 立ち止まり、体勢を低くしてゆっくり下がる
手やタオルで払う 腕を下ろし、蜂に手を出さない
蜂を叩く・踏みつぶす 手を出さず、そのまま下がる

追われている理由を考えることや、刺されたときの手当は、下がり終えてからでも間に合います。

まず、走り出すのと手で払うのをやめる

とっさに出やすいのは、走り出すことと、手で払うことです。どちらも蜂を刺激してしまうため、最初に止めておきたい動きです。足を止めて手を下ろすところから、離れる流れが始まります。

走って距離を取ろうとしない

走って距離を取ろうとするのは避けてください。走る動きは大きく急なため、それ自体が蜂を刺激してしまいます。

走れば振り切れそうに思えても、下がりきる前に走り出せば、その動きが相手を引きつけます。どこまで下がれば走ってよいかの目安は、はっきりしていません。下がりきるまでは走らずに進めるのが基本です。

足がすくんで動けないと感じても構いません。止まっていること自体は、走り出すより落ち着いた状態です。まず足を止め、そこから下がり方に移ります。

手で払う・急に動かすと何が起きるか

手で払う、腕を振る、急に体をひねる。こうした動きは、蜂の前では避けます。蜂は急な動きに反応しやすく、手で払ったり追い回したりすると攻撃を招きます。

巣の近くで飛んでいる蜂に手で払う動作で刺激を与えると、激しく飛びかかると同時に毒液を噴射し、そのあとまもなく多数の働き蜂が巣から飛び出して激しく刺す、という観察が研究機関から報告されています。一匹を追い払おうとした動きが、かえって蜂の数を増やす結果になりかねません。

顔の前を飛ばれると手が出そうになりますが、そこで手を止められるかどうかが分かれ目になります。腕は下ろしたまま、体の動きを小さく保ってください。

叩いたり踏みつぶしたりしない

蜂を叩いたり、踏みつぶしたりするのは避けます。理由は、手で払う場合と同じです。叩く動きそのものが強い刺激になり、その一匹だけの話では収まらなくなることがあります。

地面に落ちた蜂や、壁に止まった蜂も同じです。その場で始末しようとせず、そのまま下がるほうが結果的に早く収まります。

体や髪、服に止まられたときにしてはいけないこと

体や髪、服に蜂が止まっても、叩かないでください。手で勢いよく払うのも同じです。驚いて手が出ると、刺されるきっかけをこちらから作ることになります。

一方で、止まった蜂をどう外すのが正しいかは、確かな裏づけを確認できていません。静かに払い落とす、服を脱ぐ、動かずに待つ、どれがよいかを断定できないため、外し方の手順はお示ししません。

できるのは、叩かない、急に動かない、そのままゆっくり下がる、という3つです。蜂が自分から飛び立つのを待つ形になります。

体勢を低くして、静かに後ずさって離れる

離れ方の中心になるのは、立ち止まってから体勢を低くし、静かにゆっくり下がっていく動き方です。蜂に手を出さず、距離だけを取っていくのが目的になります。何メートル下がるか、どのくらいの速さで下がるかという決まりはありませんので、数字ではなく動き方として覚えておくと、いざというときに迷いません。

立ち止まり、体勢を低くして蜂に背を向けずゆっくり後ずさる動きを示した図

立ち止まってから、体勢を低くしてゆっくり下がる

下がる前に、まず足を止めます。走り出しかけていた勢いのまま後ろへ動くと、それ自体が急な動きになってしまいます。手順は次の3つに分かれます。

立ち止まり、体勢を低くして蜂に背を向けずゆっくり後ずさる動きを示した図
  1. その場で立ち止まり、腕を下ろす
  2. 腰を落として体勢を低くする
  3. 蜂に背を向けず、目を離さないまま、ゆっくり後ろへ下がる

背を向けないのは、蜂の位置を見失わずに済むからです。見えていれば、手を出さずに距離だけを取り続けられます。体勢を低くしたまま下がるのが基本で、しゃがんで頭を抱える形をとるかどうかは案内が分かれており、どちらが正しいとは申し上げられません。低く構えて手を出さないという点は、いずれの案内にも共通しています。

スズメバチは、巣に近づいた人を威嚇したり、巣を守るために攻撃したりすることがあります。だからこそ、向かってきた蜂に何かをするのではなく、距離だけを取る動きに絞ります。

手に持っている荷物や飲み物をどうするか

手に持っている物は、振り回さないようにします。置いたまま下がっても構いません。

買い物袋や飲み物、園芸の道具などを持っていると、それを振って追い払いたくなります。ただ、荷物を振る動きは腕を振るのと変わらず、強い刺激になります。持ったまま下がるか、足元に置いてから下がるかは、どちらでも構いません。腕や体を大きく動かさずに済むほうを選ぶ、という基準で決めます。

置いた荷物のことは、あとから考えても間に合います。物を惜しんでその場にとどまるほど、刺されるきっかけが長引きます。

子ども・高齢者・ペットと一緒のときの声のかけ方

一緒にいる人にも、同じ原則を短い言葉で伝えます。「走らないで」「払わないで」「そのままゆっくり下がって」の3つで足ります。

自分だけが正しく動いても、隣の人が走り出したり腕を振ったりすれば、その動きが刺激になります。長い説明をしている余裕はありませんので、短く、落ち着いた声で伝えるのが現実的です。

小さなお子さんや足元の不安な方、ペットが一緒のときも、伝える内容は変わりません。ただ、どう抱き上げるか、どうリードを引くかといった動かし方まではお示ししません。動作が大きくなるほど刺激になるためで、できる範囲で静かに、まとまって下がることを優先します。

追われている理由は、巣に近づいたかどうかで分かれる

蜂が人を追ってくるのは、多くの場合、巣を守るための動きです。巣に近づいたり刺激したりしたことがきっかけになるため、直前に近づいた場所に心当たりがあるかどうかで、いまの状況の見方が変わります。心当たりがあるなら守られている巣が近いと考え、心当たりがないなら、たまたま寄ってきた一匹の可能性があります。巣から離れて飛んでいる蜂が、むやみに人を刺すことはないとされています。

直前に近づいた場所に心当たりがあるとき

心当たりがあるときは、巣を守られている状況として動きます。軒下や生垣に頭を入れた、枝を切った、物置の扉を開けた、壁際で草を刈った。その直後に蜂が向かってきたのであれば、近くに巣がある可能性が高くなります。

戸建ての屋根のひさし部分に作られた蜂の巣

巣に振動が伝わったときは、巣の中から多くの蜂が飛び出してくることがあります。触ったつもりがなくても、脚立や枝を通じて振動が伝わっていることもあります。

巣は、思いのほか生活のすぐそばに作られます。軒下やひさしなど、普段通る場所のすぐ近くに作られることもあります。見上げる機会の少ない場所ほど気づくのが遅れますので、心当たりのある場所へは戻らずに離れてください。

巣から離れて飛んでいる一匹の場合

心当たりがないときは、刺激せずに飛び去るのを待つのが基本です。こちらから刺激しなければ、むやみに刺してくることはほとんどありません。

顔の周りを飛ぶのは、こちらが動くたびに反応しているだけのこともあります。立ち止まって手を止めていると、そのまま離れていくことがあります。

ただし、待つあいだも払わない、叩かないという線は変わりません。離れないまま距離が詰まってくるようなら、待ち続けずに、体勢を低くして下がり始めてください。

今の蜂の動きと音は、どの段階にあたるか

いま起きていることが、どのあたりにあたるのかは、蜂の動きと音からある程度読み取れます。公的機関の資料では、スズメバチの攻撃は4つの段階に分けて説明されています。はじめは、巣に近づいてきた人を警戒して、一部の蜂が巣を離れて周囲を飛び回ります。そこから警戒が強まると、高い羽音を立てて飛び回るようになり、オオスズメバチでは大顎を噛み合わせてカチカチという音を出して威嚇します。それでも人が離れず、巣に振動などの刺激が伝わったときは、巣の中が騒がしくなり、外へ出てくる蜂が一気に増えます。巣そのものを壊すような刺激が加われば、入口にいた蜂とともに多数が一斉に外へ出てきます。

この4つが必ず順番どおりに進むとは限りません。いまどのあたりにいるかを読むための目安として使います。

まとわりついて離れない・旋回している

顔や頭の周りを離れない、同じところをぐるぐる回っている。こうした動きが見えているなら、それが下がり始める合図です。

巣に近づいた人を警戒したり威嚇したりするとき、蜂は巣を離れて周囲を飛び回り、高い羽音を立てることがあります。いまのまとわりつきがそれに当たるかどうかを、その場で見分ける方法はありません。見分けようとして立ち止まったまま観察するより、体勢を低くして下がり始めるほうが確実です。

何をしたら寄ってきたのかを考えるのは、下がり終えてからで間に合います。

カチカチという音が聞こえたとき

カチカチという音が聞こえたら、その場から下がってください。この音は、威嚇の段階で聞かれるものとして資料に挙げられており、オオスズメバチが大顎を噛み合わせて空中で出すとされています。

音が聞こえたあとに何が起きるかまでは決まっていません。この音が必ず先に出るとも限らないため、音がしないから大丈夫だとも考えないほうがよい場面です。

聞こえたときにすることは、まとわりつかれているときと同じです。手を出さず、体勢を低くして、ゆっくり下がります。

どこまで離れ、どこへ入れば一区切りか

どこまで下がれば十分か、という距離の基準は示されていません。目安として使えるのは、蜂が追いかけてくる距離の幅と、戸を閉められる場所に入るという終わり方の2つです。建物や車の中に入り、戸を閉めるところまでを一区切りと考えます。

どのくらい追ってくる可能性があるか

スズメバチが追いかけてくる距離は種類によって違い、概ね10メートルから50メートル程度です。

この10〜50メートルという幅はあくまで目安で、ここまで離れれば大丈夫という保証ではありません。

実際には、距離を測りながら下がることはできません。

建物や車の中へ入り、戸を閉めるまで

建物や車の中へ入ったら、戸や窓を閉めてください。蜂とのあいだに壁や扉が入った時点で、屋外での対応はひと区切りです。

入口へ向かうときも、駆け込みたくなりますが、下がり方は変わりません。扉に手をかけるまでは体を大きく動かさず、開けたらすぐに閉める、という流れになります。車であれば、乗り込んで窓とドアを閉めれば同じことができます。

一緒に蜂が入ってきてしまった場合は、屋外とは別の判断になります。その場合は、家に入ってきたスズメバチを刺激せずに外へ出す手順をご覧いただけます。入ってしまった一匹を、その場で追い回す必要はありません。

何匹にも囲まれているときに優先すること

何匹にも囲まれているときは、ほかのことを考えず、離れることだけを優先してください。数が増えているのは、巣を刺激してしまった可能性が高い状況です。

一匹に刺されると毒液が空中にまき散らされ、そのために多数の蜂から攻撃を受けることがあります。その場で応戦したり、数を減らそうとしたりしても、状況は良くなりません。

動き方そのものは、一匹のときと変わりません。巣の近くにいる蜂は動きに敏感で、腕を大きく振り回すような急な動きはそれだけで刺激になりますので、手を出さず、体勢を低くして下がり、逃げ込める建物や車があればそこへ入ります。違うのは優先順位で、原因を確かめる、荷物を拾う、写真を撮るといったことはすべてあとに回します。

離れる途中で刺されてしまったとき

刺されてしまったときも、その場を離れることが先です。手当は、蜂が追ってこないところまで下がってから始めます。そのうえで、自分でできる手当と、すぐに救急車を呼ぶ状態とを分けて考えます。

離れてから、きれいな水でよく洗い流す

下がり終えたら、刺された箇所をきれいな水でよく洗い流してください。水道水で構いません。そのうえで虫刺されの薬(抗ヒスタミン軟膏)を塗り、できるだけ速やかに医師の診察を受けます。これは、厚生労働省の各労働局が公開している資料に共通して示されている手当です。

アンモニアには効果がありませんので、塗る必要はありません。

刺された箇所が一か所でも、洗い流して薬を塗ったら受診まで、という一続きの流れとして考えていただくのが確実です。

すぐに119番する状態

刺されたあとに、呼吸が苦しくなる、意識がはっきりしない、血の気が引いて倒れそうになるといった変化が出たときは、直ちに119番して救急車を呼んでください。

こうした重い症状は、刺されてからごく短い時間で現れることがあり、顔や首を刺されたときに多いとされています。待っていれば良くなるかどうかを見極めようとせず、変化に気づいた時点で通報してください。

迷う場合も、呼んでしまって構いません。判断がつかないまま時間が過ぎるほうが不利になります。

離れ終えたあと、巣を自分で探しにいかない

下がり終えたあとに、巣がどこにあるのかを自分で探しにいかないでください。近づく、覗き込む、棒で突く、といった行動はいずれも刺されるきっかけになります。

戸建て住宅の軒下にできた蜂の巣と、その近くの通路

巣が見つかっている場所では、振動などの刺激を与えず、取り除くまでは巣の近くでの作業を避けます。追われた直後なら、蜂はまだこちらを警戒していると考えたほうがよいでしょう。

巣が大きくなっているときほど、ご自身で手を出さずに距離を取っていただくようお願いしています。巣の場所が分からないままでも、相談していただけます。近づかずに見当をつけたいときは、蜂の巣がどこにできるかと、離れた場所からの探し方をまとめた記事をご覧ください。

収まらないとき、同じことが繰り返すときの相談先

蜂が離れない、同じ場所で何度も追われる、という状態が続くなら、巣が見つかっていなくても駆除業者に相談していただけます。巣が見つかったあと、すぐ動くべきか様子を見てよいかは、蜂の巣を放置しても大丈夫かの見分け方で確かめられます。

私たちBeeDASHは、蜂の巣の駆除だけでなく、飛んできた1匹のご相談もお受けしています。追われた場所が庭でも駐車場でも、屋根裏を含め、家の中と外のどちらの巣にも対応しています。

巣を見ていない、写真が撮れていない、という状態でも構いません。写真を撮りにくい高所や屋根裏の巣にも対応していますので、その場合は電話やお問い合わせフォームから状況をお伝えください。

ご自分で対処できる範囲かどうかを先に知りたい場合は、蜂の巣を自分で駆除してよいかの判断もあわせてご覧いただけます。

参考・出典